第32回ゲストトーク 長谷川 晋氏

急激な進化を続ける「コミュニケーション」

Facebookの長谷川です。まずはみなさん、弊社プラットフォームをご活用いただき誠にありがとうございます(笑)。

普段は、77年に生まれた方々、という括りでお仕事をすることは少ないので、こうやって同じ年に生まれた方々とご一緒させていただくのは非常にエキサイティングなことだと思っています。みなさんからもいろいろお話をお伺いできればと思っていますので、よろしくお願いします。

さて今日は、弊社のFacebook、Instagramといったグローバル・プラットフォームを通じて、私たちがどんなトレンドや風景を見ているのか、3つほどお話ができればと思います。

まず、私たちが見ているなかで一番大きなトレンドというのは、“モバイルシフト”なんです。

今、モバイルを持っていると言われる人の数は、47億人。もしかしたら、50億人を超えているかもしれないと言われています。この数字は、清潔なトイレへアクセスできる人や、歯ブラシを持っている人よりも多いという指標もあるようです。最近では、いろいろなところで「世界がモバイルシフトしている」という話が聞かれますが、この数字を改めて見てみますと、私たちの肌感覚としては「モバイル自体が完全にグローバルのインフラとして定着した」というのがトレンドの見方として正しいのではないかと考えています。

次に、モバイルシフト同様に私たちが面白いと感じているのは、「モバイルシフトに従って、人と人の繋がり方が変わってきている」というトレンドです。

例えば、以前は目黒川で花見をしたりすると、周りの友達にテキストで「桜がきれいだよ」と情報発信していたと思うのです。でも、シンプルなガラケーの時代から、カメラ付きのケータイの時代に変わっていくと、今度は写真でのコミュニケーションが急に増えていくようになりました。

そして現在、5700万人もの方がスマートフォンを持っていると言われています。スマホを持つということは1人ひとりの手のひらのなかに、高感度、高性能なビデオカメラがあるということです。そうなると、人と人とのコミュニケーションは写真を使うだけでなく、動画で伝えるということが起こっていきます。

これが2つ目のトレンドです。実際、FacebookやInstagramでは、動画をアップしていくことが一般的になってきていて、例えば最近のFacebookでは1日に約80億回もの動画が再生されているという数字が出ています。これは個人だけでなく企業や広告の動画もひっくるめての数字なのですが、それほどがFacebookだけで再生されるくらい、コミュニケーションのど真ん中にモバイルの動画がきています。

では、この先10年を見越した場合はどうなるのでしょうか。今で言うと、VRやARですよね。つまり、相手が目黒川にいなくても、同じ景色を自分の視点で見てもらい、同じ経験を共有しながらコミュニケーションを取っていく、ということですね。そういうことが今後10年で起こると思っています。ただ、VRやARについては、まだエコシステムができあがっていないという現状もあります。なので、今がどういう時代かと言われたら、私たちとしては、やはり動画の時代なのではないかと考えています。

さて、このようにコミュニケーションが進化し、多様化していくと、おそらく「ブランドと人の繋がり方」や「ビジネスと人の繋がり方」などにも強い影響を与えていくのではないかと感じています。ということは、企業のマーケティングのあり方、あるいはビジネス自体のやり方においても、モバイルシフトや動画中心のコミュニケーションの進化が必要になってくる。そのようなことが、今後ビジネスに関する大きな課題になるのではないかと思っています。

今が、“20億人”のなかに飛び越むチャンス

最後は、私たちFacebook、Instagramのプラットフォームについてです。

Facebookは、1人ひとりに情報発信のパワーを授けて世界をつなげ、「社会をちょっとでもよくしよう」とする、ただそれだけのために存在している会社です。6月に新しくなったミッションは「コミュニティづくりを応援し、人と人が身近になる世界を実現する」です。例えば、イランに住んでいる方とつながったとして、その人がアメリカの大統領選挙を目にしたときの想いだとか、はたまた週末に自分の子どもたちと一緒にプールに遊びに行ったときの様子だとか、新刊の本を読んだ感想だとか、いろんな情報を発信します。そういう情報をつながっている同士で交換し合い、さらにそこから相互理解が培ってコミュニティに発展します。仮に信仰する宗教が違っていたとしても、共有できるものがあれば人と人が身近になれるのではと思います。

現在、Facebookだけで20億人ほどのユーザーがいて、Instagramでは8億人くらいのユーザーがいます。あとはメッセンジャーで13億人くらいですね。これはどういうことかというと、今までは会える人としか情報交換ができなかったものが、世界中の20億人と自由に知り合え、自由に情報発信をし、逆にいろんな刺激を受けられる時代になってきているということです。

このことは、企業はもちろん個人商店などにとっても大きなチャンスです。パソコン1台、もしくはスマホ1台あるだけで、瞬時に世界中の人に向けて自分の考えるコミュニケーションができてしまうからです。たった1人、2人の会社でも、20億人のなかから自分たちのサービスや商品に合う1000万人を見つけてきて、FacebookやInstagramを通じて直接情報発信をしてビジネスを行うということも可能でしょう。そんな風に世界に向けて飛び出すハードルが圧倒的に下がってきているのです。

現在は、オリンピックに向けて日本への関心が高まってきている時期。私たちは、2020年までにいかに20億人のなかに日本の会社やサービスのファンをつくるかというのが、今後の日本にとって重要なことだと考えています。Facebookも、日本に来てまだ数年です。私たちとしましては、日本からグローバルに飛び出していくという冒険をまだまだ1%も達成していないという感覚があります。ですから、もしみなさんのなかに、会社をやっていらっしゃったり、お店をやっていらっしゃったり、eコマースをやっていらっしゃったり、グローバルに向けて発信できるような何かをお持ちの方がいらっしゃれば、ぜひ弊社のプラットフォームを使って、20億人に情報発信をしてほしいと思っています。

 

松嶋啓介

松嶋啓介's EYE

少しずつではあるものの、これまで「同世代の出会いの場」として開催し続けてきた77年会ですが、……「継続は力なり」とはよく言ったものですね。なんと今回は、定期恒例会の情報発信でも利用させていただいているFacebookの長谷川晋さんにゲストとして登壇していただきました。

しかも、長谷川さんは、僕たちと同じ77年生まれ。年始に「今年は同世代のがんばっている人の話を聞きたい」ということを話していましたので、これは絶好のチャンスだ!(笑)と思い、早速登壇のお願いをさせていただきました。長谷川さん、突然なお願いだったのにも関わらず、快くお引き受けいただいて本当にありがとうございました。

そもそも77年会というのは、単なる“同世代の集まり”ではありません。ここで出会い、つながった縁の輪を上手に広げながら、自分たちもバージョンアップして、さらには次の世代に残すものを育んでいくような“るつぼ”をつくりたいという想いが込められています。今日、長谷川さんは「Facebook、Instagramというプラットフォームは、個人と世界をつなげるためにある」というお話をされていましたが、小さいレベルではありますが、この会も、僕自身も、そういう様々な情報を発信し、自由に人と人をつなげるような何かにしていきたいとつくづく実感しました。

みなさん、もっと奮闘しましょう。そして、もっとわくわくするような何かをつくりましょう。2020年、さらにはそれ以降の時代に向けて、僕たちがやらなくてはいけないことはまだまだ残っています!

長谷川 晋(はせがわ・しん)(フェイスブック ジャパン 代表取締役)

1977年生まれ。京都大学経済学部卒業。2000年4月、日本の大手損害保険会社に入社し、法人営業に携わる。2002 年、プロクター・アンド・ギャンブル マーケティング本部に入社。ブランドマネージャーを経たのち、シンガポールにて 「ブラウン」や「SKII」などのリージョン責任者。2014年に、楽天株式会社に入社。上級執行役員としてグローバルおよび国内のマーケティングとブランディングを統括。2015年10月、フェイスブック ジャパンの代表取締役に就任。

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