ダボス会議で体験した「本当の世界」とは？
僕は小さい頃から29歳になるまで、通算で約6年間を海外で過ごした経験があったので、早い時期から「世界」を意識してきたように思います。ハーバード経営大学院で学んだ時に「起業」の面白さに気づき、30歳の時には渋谷の貸し教室でグロービスを立ち上げました。33歳でアジア人として初めてYEO（Young Entrepreneurs Organization）のインターナショナルボードに入り、アジア代表として16～17カ国をマネージしていました。1999年、38歳の時には、世界的なベンチャーキャピタルであるエイパックスと提携。太平洋を7回、ユーラシア大陸を6回、大西洋を4回横断しながら200億円という資金を集め、GREEやライフネット生命保険、オイシックスなど様々なベンチャーに投資しました。
2006年にはグロービスから「グロービス経営大学院」を独立させました。ちょうどその頃、ダボス会議のユース・プログラムとして、YGL（Young Global Leaders）という40歳以下限定のリーダー・コミュニティーが立ち上がりました。様々な専門分野のトップリーダーが世界中から集まりました。僕は「New Asian Leader」の日本代表に選ばれ、ラッキーなことにダボス会議に2回も参加できる権利を手に入れることができました。
ダボス会議ではこれまで自分自身が見てきた世界のイメージを確認する一方で、自分が知らなかった、まったく違う世界を垣間見るという衝撃的な体験をしました。「本当の世界というのはこうなっていたのか！」と改めて思ったのです。
ダボス会議は、世界中のリーダーが集合して、そのときどきのグローバル世論を形成していく場所です。国際連合、世界銀行、IMF、OECDといった国際機関のトップや各国首脳たちはもちろんのこと、ビジネス、アカデミック、メディアといった各界のトップも参加していて、莫大なエネルギーと圧倒的な影響力を持っていました。
自分を信じれば、世界など大したことはない
このような体験をする中、僕が常に考えていたのは「同じようなカンファレンスを、日本にも作ろう」ということでした。ただ、日本人は同じ場に年上の方がいると気を使ってしまう傾向があって人間関係を深めにくいので、「参加者は僕よりも最大7歳上の世代まで」と決めて、賛同者を集めました。
その基盤になったのは、以前から「丑年・寅年の会」と称して集まっていた、民主党の前原誠司さんや長島昭久さん、田嶋要さん、自民党の世耕弘成さんや西村康稔さんといった顔ぶれ。そこに、サンヨー食品の井田純一郎さん、森ビルの森浩生さん、東京タワーの前田伸さんなどのメンバーも加わり、「この世代を中心に多くの仲間を集めよう」と意気投合し、G1サミットが誕生したのです。
最初は「誰にもサミットの存在を話してはいけない」という秘密会ルールがあったのですが（笑）、現在ではG1政治部会、G1官僚、G1首長、G1メディア、G1スポーツなどコミュニティごとに新たなネットワークが生まれるほど多くの方々にご参加いただいています。昨年からは、アンダー40（40歳以下）のコミュニティを作って「次の世代を育てる」取り組みにも力を入れています。「日本を良くする」という目的のために今後も進化させていきたいと思っています。
そんな僕が最も大切にしているのは「自分の可能性を信じる」ということです。「自分には無限大の可能性がある。限界はぶち破れる」と自己肯定する姿勢です。僕の夢は、グロービスをアジアNo.1のビジネススクール、アジアNo.1のベンチャーキャピタルにすること。世界と正面から向き合い、世界のリーダーと触れ合い、学び続けていれば、勝てない戦いではないと思っています。今だって、世界と良い感じで戦っていることを実感しています（笑）。ぜひ一緒にがんばりましょう！
堀義人（ほり・よしと）（グロービス代表）
京都大学工学部卒、ハーバード大学経営大学院修士課程修了（MBA）。住友商事株式会社を経て、1992年株式会社グロービス設立。’96年グロービス・キャピタル、’99年 エイパックス・グロービス・パートナーズ（現グロービス・キャピタル・パートナーズ）設立。’06年4月、グロービス経営大学院を開学、学長に就任する。YEO（Young Entrepreneur’s Organization 現EO）日本初代会長、YEOアジア初代代表、世界経済フォーラム（WEF）が選んだNew Asian Leaders日本代表、米国ハーバード大学経営大学院アルムナイ・ボード（卒業生理事）等を歴任。’08年にG1サミットを創設し、’13年4月に一般社団法人G1サミットの代表理事に就任。近著に『新装版 人生の座標軸「起業家」の成功方程式』（東洋経済新報社）がある。
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