第11回ゲストトーク 田村耕太郎氏

感謝の気持ちを忘れるな!他人事ではない。立て直せるのは君たちだけだ!

23%

これは何の数字だと思いますか?

日本人の中でパスポートを持っている人の割合です。つまり、8割の人はパスポートを持っていません。G7の中で一番低い数字ですが、実はある国とブービー賞を争っています。さて、ある国はどこだと思いますか?

日本と同じ島国のイギリスでは約6割、カナダでは約7割の人がパスポートを持っています。20%台なのは先進国では日本とアメリカのみです。日本とアメリカは世界の二大田舎者と言われています。ただ、日本とアメリカで大きく異なるのはアメリカには世界があること。アメリカは移民で成り立っているのに加え、いろんな国の人が世界中から仕事をしに来たり、留学しに来たりしています。

これは世界における日本シェアです

今  2050年

1.8%⇒1.0%

5.8%⇒1.9%

何の数字だと思いますか?

上段は世界における日本の人口のシェア、下はGDPのシェアです。
2050年には世界の人口は90億人になり、日本の人口は9000万人になります。

今の日本は世界第3位の経済大国ですが、6%ありません。このまま推移すると2050年には2%切ります。世界の人口のうち99%が日本人ではない、世界経済のうち98%は日本以外となります。

 2050年の日本の消費税は63%に。2030年全世界の雇用数は半分になる

みなさん、世界7大経済(GDP)を言えますか?

1位アメリカ
2位中国
3位日本.
….

日本は2050年に何位になると思いますか? このままいくと2050年には日本は8位へ転落すると予測されています。割って入ってくるのはBRICSです。

 5⇒63

この数字は何だと思いますか?

みなさんに目覚めてほしいです。

これは消費税です。今と2050年の消費税です。

何が一番変わるのでしょうか?

人口構成です。

このままの社会保障、年金や医療保険などを続けるとして、その財源を全部消費税に任せると2050年の消費税は63%になります。

極端な例ですよ、もちろん年金を減らすとか、医療保険を上げるとか他の税をあげるとかの方法はあります。でも現実的にみなさんが生きている間に消費税は30〜40%にはなります。それをみなさんが払っていくということです。
例えば、国民皆年金制度、日本は1億人以上いる国で唯一国民全員が年金に入るという制度を取っている国です。国民皆年金制度は1961年に発足しました。当時の高齢者と現役世代の比率が1対9でした。それが2050年になると高齢者と現役世代の比率が1対1.2になる見込みです。

 12000万人⇒4000万人

この数字は今の日本の人口と今の出生率だった場合、2100年の日本の人口です。4000万人は明治初期の日本の人口と同じです。

ただ、明治初期と22世紀初頭の4000万人で一番違うのは人口構成です。明治初期は35歳以下8割いましたが、22世紀初頭は65歳以上が4割以上になります。

世界の雇用は半分になる

2030年までに世界の「あるもの」が半分になります。
何だと思いますか?
「全世界の雇用」です。
「世界の雇用」がなぜ半分になるのか?テクノロジーに代替されるからです。

この中でGoogle本社に行ったことがある人はいますか?

キャンパスと言われるヘッドクォーターを縦横無尽に走っているのは、Google car。Google carは、全自動でGPSを使って走ります。ロボットが運転するので疲れないし、GPSがついているから道を間違えないし、事故もおきません。

今後、人間の単純労働はいろんなテクノロジーに代替されていきます。

テクノロジーに凌駕されないような仕事ではないと、人間が高い給料と引き換えにできる仕事はなくなっていくのです。

情報源が日本国内しかないのはリスキー

自分は新聞社の社長もやっていたのでみなさんにぶっちゃけますと、、、

日本の情報は本当にリスキーです。

日本の新聞しか読んでない、テレビしか見ていないという人はどのくらいいますか?

日本のメディアはそんな激しいウソはついていません。しかし、真実がどのくらい明かされているかというと以下の3つの問題があるので、非常に難しいです。

  • グローバルではない(世界にある情報の中で2%しか日本語にならない)
  • 記者クラブ制度(大企業がくれた情報しか書かない)
  • 広告に弱い(広告を出している企業の悪いことは書かない)

日本人に欠如しているのは「自立」、「責任」、「決断」

日本人に欠如しているものはこの3つです。

「自立」、「責任」、「決断」

能力は高い、空気が読める、細かい仕事はできる、すばらしい民族です。
足りないのはあとこの3つです。
この3つがあるかないかが、日本の内と外、日本以外の国との大きな違いです。
江戸時代にはこの3つはあったが、戦後の欧米にキャッチアップする高度成長期に失ったのです。

僕が考える「日本にしかいられないリスク」はこれです。

  • 負担が増える中、世界中の同世代と仕事を奪いあう時代
  • 世界の同世代は英語ができる
  • どこでも働けるサバイバル能力を身に着ける
  • 安全保障は経済と財政の変数?

日本はいい国です。今まではよかった、これからは人口構成が大きく変わる、国の借金はどんどん大きくなっていく。安全保障もそう。中東以上に危険なエリアになる。アメリカも日本に力がある間は守ってくれるかもしれない、しかし、今、アメリカと中国は急接近しており、今後はどうなるか分かりません。

innovationは点と点をつなげることで生まれる

innovationってなんですか?
innovationといえば誰ですか?

「スティーブジョブス」

ジョブスはどう定義しましか?
「Connecting dots」つまり、点と点をつなげること
innovationは一生懸命、頭を使って考えて、ぱっと思いつくこと、をイメージするかもしれない。そうではなく、いろいろと今あるものを組み合わせることでinnovationが起こる。iphoneだってそう。一つ一つのアプリは大したことなかったが、いろんな組み合わせにしたこと、タッチパネルにしたことで全く新しいinnovationが生まれました。

こういう会は非常に大事です。いろんな世界の人たちがいて、いろんな人たちが集まる。料理に強い人、音楽に強い人、経済に強い人、テクノロジーに強い人がいる。こういうところで点と点がつながって、innovation が生まれます。

ものすごいスピードで進化している新興国

モバイルバンキング世界一の国はどこだと思いますか?

ケニアです。

なぜかというと、電話線を引いていないところが多い、出稼ぎする人が多く、その人たちが地元に送金しているからです。
ここで言いたいのは昔の後進国と今の新興国は違うということです。

自然エネルギーもっとも活用している国はどこだと思いますか?

インドネシアです。

なぜインドネシアか?4000の島でできている国家で、4000の島に送電線を引けないと島ごとに自給自足をするしかないからです。

IT農業、漁業が最も進んでいる国はどこだと思いますか?

インドです。

シカゴの穀物相場を見て、来年大豆を作るか、小麦を作るかなどを決める。漁業は各国の水揚げ高を見てどこの港でおろすのが一番いいかを決める、などをしている。

農業技術世界一の国は?

イスラエルです。

なぜイスラエルが農業技術が高いと思いますか?
砂漠の中にあり、さらに周辺は敵国ばかりで周りの国から買えない。だから水が一滴もなくてもトマトをつくる技術があります。

心臓バイパス手術世界一はどこだと思いますか?

インドです。

術後の生存率が先進国で最も進んでいるアメリカの倍です。なぜだと思いますか?大量の件数をやっているからです。成功も失敗も合わせて。

今の新興国は先進国にまさるとも劣らない技術を持っていて、ものすごいスピードで進化しています。

 感謝の気持ちを忘れるな!他人事ではない。立て直せるのは君たちだけだ!

日本人に生まれて感謝することは、『世界中で日本人ほど好かれている国民はいない』ということです。日本のパスポートは一番ウェルカムです。これだけ好かれていることを活かさない手はありません。これからこの国は問題山積みですが、今の日本はすごいんです。今のところ総合力は世界2位です。

日本人は部分、部分切り取って、比較していろんな国に負けているといいますが、国とトータルでみると総合力2位というのは誇っていい、すごい国なんです。

感謝の気持ちを忘れるな!

まだまだ内需はある、でも世界を見てきた方がいい。

他人事ではないですよ

立て直せるのはみなさんたちだけです。

このままいくと先ほどお話したとおり、日本は消費税で3〜4割、所得税も入れると半分以上持っていかれます。それではどこに行くのか?という選択肢を作っておくか、それとも今のうちに国を立て直すのか?切実な問題です。他人事ではありません。

結論、BMBなんですね。

Buy my books!

落ちがよろしいところで(会場笑)

田村耕太郎(たむらこうたろう)(前参議院議員)

1963年生まれ。前参議院議員。早稲田大学卒業、慶応義塾大学大学院修了(MBA取得)。エール大学上席研究員、ハーバード大学研究員などを経て、世界で最も多くのノーベル賞受賞者を輩出したシンクタンク「ランド研究所」で唯一の日本人研究員を務めた。
国立シンガポール大学公共政策大学院名誉顧問、新日本海新聞社取締役東京支社長。シンガポールの国父リー・クアンユー氏との親交を始め、欧米やインドの政治家、富豪、グローバル企業経営者たちに幅広い人脈を持つ。

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